研究工具(データベース)

中国では研究に用いる辞書や資料集などを「工具書」といいますが、Webサイトを「硏究工具」としてまとめました。日中の医学文献の硏究に役立つ参考資料を研究資料、有意義なWEBサイトなどのデータベースをここに一覧としてます。

関連団体

日本鍼灸研究会[関東部局]

日本鍼灸研究会の関西部局であり、月例会の「東京鍼の会」、短期集中基礎講座[東京]を開催する。

日本鍼灸史学会

鍼灸師が主催する医学典籍、日中の鍼灸文献に関する学術大会。日本鍼灸研究会の事務局によって運営される。毎年11月に京都の会場にて開催されている。論文集や各種出版物を刊行している。

文献検索

日本古典籍総合データベース(国文学資料館)

国文学資料館が提供する日本古典籍の最大総合目録(一部、漢籍・明治本を含む)である。『国書総目録』(岩波書店刊)の継承・発展させた「新国書総目録」である。古典籍の書誌・所在情報を著作及び著者の典拠情報が提供されている。書誌・所在情報は、古典籍総合目録データ(『古典籍総合目録』(1990年岩波書店刊)所収データを含む)、国文学資料館所蔵の和古書目録データ、マイクロ資料目録データをも収録。典拠情報は、『国書総目録』(補訂版 1989~1991)、『古典籍総合目録』所収のすべての著作・著者、目録刊行後に追加した著作・著者を収録する(同トップページより)。
目錄検索の検索ページから著者や書名で検索する。

全国漢籍データベース(日本所藏中文古籍數據庫)

全国漢籍データべース協議会が運営する連合漢籍目録データベースである。日本の主要な公共図書館・大学図書館が所蔵する漢籍の書誌情報を、四部分類(叢書部を加えて五部分類)に基づいて収集・登録する。全国漢籍データベース作成委員会は、国立情報学研究所、東京大学東洋文化研究所附属東洋学研究情報センター、京都大学人文科学研究所附属東アジア人文情報学研究センターを幹事機関として組織されている。常用漢字の入力で検索可能で、和書・国書だけでなく和刻漢籍も網羅される。

CiNii(サイニィ)

NII(国立情報学研究所、前身「学術情報センター」)が運営する、論文、図書、雑誌などが検索できるサービス。日本の学術論文を中心に、本文や引用文献へのナビゲーション機能を提供。大学図書館の蔵書検索についてはサイニィ・ブックス、博士論文にはサイニィ・ディザーティションを用いる。

NII-DBR(学術研究データベース・リポジトリ)

日本の学会や研究グループなどで作成された専門分野に特化したデータベースを集約。データベースのうち、「古文書目録データベース」は東京大学史料編纂所のものを、「日本漢文文献目録データベース」は二松学舎日本漢文教育研究プログラムにより提供。個別に検索できるほか、複数のデータベースを横断的に検索できる。

JAIRO(学術機関リポジトリポータル)

日本の学術機関リポジトリに蓄積された大学や研究機関の教育・研究成果(学術雑誌論文、学位論文、研究紀要、研究報告書、教材など)を横断的に検索(平成20 年10 月現在、84 機関リポジトリ、約54 万件のコンテンツが検索可能)できるサービス。

鍼灸文献データベース

全日本鍼灸学会が公開している鍼灸関係の資料を検索できるデータベースである。「医道の日本」や「伝統鍼灸雑誌」まで網羅している。井上恵理の「日本鍼灸治療会雑誌」に掲載される記事も公開されている。

J-STAGE(国立研究開発法人 科学技術振興機構)

文部科学省所管の独立行政法人科学技術振興機構が運営する電子雑誌公開システム。1998年から運営されている。正式名称は科学技術情報発信・流通総合システムとのこと。「日本東洋医学誌」、「全日本鍼灸学会雑誌」の一部が公開されている。

GoogleScolar(グーグル・スカラー)

アメリカ・グーグル社による検索エンジン。学術用途を目的としており出版物、学術誌、論文の全文及びメタデータ(著者、標題、関連キーワード、発表年月日など)の検索が可能。

新浪(SINA)新浪網 

中国でポータルサイトを運営する会社ならびにそのポータルサイト名。以前は独自の検索アルゴリズムを用いていたが、Google を使用しているという。関連サイトの愛問共享資料は以前、多くの資料が公開されていたが、今はほぼ閲覧不可。現在は、同系列の新浪微博(Weibo)の存在意義がある。日本のメディアでも「中国版ツイッター」として有名な微博(Weibo)だが、医学文献を検索する場合は、微博のクラウドサービスである微盤(Weipan)の中を検索するの効率的である(2017年3月現在)。微盤は、安価でスマートフォンのアプリからも可能。ここから検索してもうまく検出されない場合は、百度(Baido)のトップから探している書籍の「“書名”」+「微盘」で検索すると見つかることがある。百度は繁体字でも簡体字に変換して検索されることが多いが、日本常用漢字や繁体字では出てこない場合は、簡体字で検索すると良い。

NDL-OPAC(国立国会図書館蔵書検索システム)

かなり以前から存在する国立国会図書館の所蔵資料の検索ができる。和図書、洋図書、和雑誌・和新聞、洋雑誌・洋新聞、電子資料、国内博士論文などをカバー。学術雑誌の記事も検索できるので、資料の捜索に便利。

中国知網(KNS)

CNKI(中国学術情報データベース)が提供するデータベースで、本文の閲覧は有料、検索は無料。以下、国立国会図書館リサーチナビより転載。
「中国期刊全文数据库(中国学術雑誌文献:CAJ)」(学術雑誌で発表された論文)および「中国重要报纸全文数据库(中国重要新聞文献:CCND)」(2000年以降の新聞記事)の全分野を契約しており、国立国会図書館内の端末では、本文の閲覧とプリントアウトが可能であり、関西地方からは関西館の利用が便利。「中国期刊全文数据库(中国学術雑誌文献:CAJ)」については、NDL-OPAC経由や郵送での遠隔複写申込みも可能。
他にも下記のサイトが中国の資料を検索する参考になる。

デジタルアーカイブ

古典籍総合データベース

早稲田大学図書館がその所蔵する古典籍について、その書誌情報と関連研究資料、さらには全文の画像を公開(日本は江戸時代以前、中国は清以前のもの)。

宮内庁書陵部収蔵漢籍収攬

宮内庁書陵部が収蔵する漢籍のうち、宮内庁書陵部編『図書寮典籍解題漢籍篇』に著録する南北朝以前書写の漢籍旧鈔本と宋刊本、平安時代以前書写の仏典等を収録。平成29 年3 月を以て、四部全ての書を公開するとのこと。

京都大学電子図書館貴重資料画像

「貴重資料を探す」をクリックすると、KULINE(クライン)の画面となる。京都大学内の各図書館(室)所蔵の図書及び雑誌だけでなく、他大学や公共施設における蔵書の有無についても検索できる。電子化された書籍については、京都大学図書館機構主要コレクションに目録があり、ここから検索する。従来の富士川文庫のページも存在する。

大阪府立中之島図書館

大阪市北区の中之島図書館の蔵書を検索できる。Web上での複写申請も可能。江戸期の版本が豊富だが一部明版も存在する。

龍谷蔵(龍谷大学貴重資料画像データベース)

龍谷大学所蔵の古典籍がデジタルアーカイブで閲覧可能。医学書は、100種以上が公開されている。以前はモノクロのみだったが、カラー画像も公開されている。

河村文庫データベース(滋賀医科大学近江医学郷土史料電子文庫)

河村家の藩校・稽古館(弘道館)より、滋賀医科大学図書館に寄贈された医学典籍である。全書カラーで公開されている。

東京大学史料編纂所

東京大学の附属研究所として日本史に関する資料の編纂を行う。国文学関係の資料が豊富。電子くずし字字典も便利である。

KOSMOS(慶応義塾大学メディアセンター)

資料検索(蔵書確認のみ)、電子ジャーナル、論文検索(CiNii より)が行える。

国文学研究資料館

日本学術会議(戦後に設置された、内閣総理大臣の所轄の下に政府から独立して職務を行う機関)がその設立を呼びかけ(勧告)したことがきっかけで創立した。その「電子資料館」では日本国内の書籍目録やデータベースの検索ができるが、特に「蔵書印データベース」は使える。九州大学の「九大コレクション」にある「蔵書印画像」よりも遙かに多い。

国立国会図書館デジタルコレクション

国立国会図書館の電子画像化した資料を閲覧できる。当館は、写真撮影も可能で、閲覧可能の図書も豊富。

国立国会図書館デジタルアーカイブ

国立公文書館の公開するデジタル画像である。内閣文庫の医学典籍が公開されており、現在は、一括ダウンロードまで可能である。

研医会図書館

公益財団法人研医会が公開する医学資料。GooglePicasadに惜しみなく公開されているので、書名がブラウザから検索されることも多い。ウェブアルバムのリストが目録になっており、公開されてい一覧できる。

漢方スクエア

ツムラの漢方スクエアの中で漢方Libraryとして公開している電子書籍である。残念ながら鍼灸関係の資料は無いが、スマホ用専門アプリも公開されて便利である。

漢字検索・辞書サイト

漢典

詞典、字典、成句の検索も可能。漢字字源として『説文』と『康煕字典』が詳細。同サイトの漢典古籍は経史子集の全てが検索可能。「医家」に掲載される典籍は32種のみ。『千金要方』『千金翼方』があるのは便利。簡体字しか検索できないので、下記のコンバーターなどを利用するのをおすすめする。

小学韻書集成

字形から韻書、聲調、韻目、字母、反切の検索が可能。『集韻』、『広韻』など8種類の韻書を網羅。

國學大師

字書を引くためのサポートとなる便利なサイト。字典のページから文字を検索すると、『説文』、『康煕字典』から『故訓彙纂』、『経籍籑詁』まであらゆる字書の記載ページを検索でき、しかも検出されたページをクリックするとそのページが画像で表示される。簡体字で表記されるページだが検索時は、繁体字でも可能。日本の常用漢字の場合は、繁体字に変更してくれる。ただし熟語(詞典)は簡体字で検索が必要。
影印古籍のページでは四庫全書までも画像で閲覧可能。国学大師のスマホアプリもあるが中国国内専用のため、インストールは手間がかかる。
日本では『大漢和辞典』が必須だが、これについては今昔文字鏡のシステムが検索に便利。国学大師の様なサイトが日本にも欲しい。

Weblio 日中・中日辞典

一般的な辞書サイトであるが、日中・中日辞典としては便利。中国国内サイトを閲覧するときのPC用語などの検索にも便利。ピンインを出せるので、中国の辞書を引くときにも使える。翻訳も可能。中日辞典については、三省堂クラウンと小学館の中日辞典などのアプリがあるのでそちらも便利。

簡体字繁体字コンバーター(Chinese Converter)

Chinese Converterというサイトの中国語学習用のツールである。ピンインコンバーターなど便利なコンテンツが多数あり。

データベース

中国哲学書電子化計画

医学書のデータベースは少ないが、膨大な量の儒学関係資料に対する縦断検索が可能。工具も充実しており、字書としても資料が可能。

漢籍リポジトリ

「研究者から研究者への電子テキスト」である。医学関係は、文淵閣四庫全書が全てテキスト化されている。繁体字(旧字体)で検索しないと認識されない。

中医古籍在綫閲読(中華中医網)

 簡体字であるが、医学典籍が多く掲載されている。テキストを一度にダウンロードが可能。

典蔵台湾

台湾故宮や国家図書館等の資料を検索ができる。書誌データと巻頭の書影を閲覧できるが全頁の閲覧は不可能。台湾の蔵書調査に便利である。

書店・通販サイト

亜東書店

本会が長年お世話になっている中国輸入書籍の老舗。鍼灸関係の取り扱いも豊富。

東方書店

近年ご縁がある中国輸入書籍のこちらも老舗。江坂にも店舗があるため、関西の会員には重要。

燎原書店

やはり老舗の中国輸入書籍取り扱っている書店。自社の書籍もあり『三因極一病證論』、『中国史籍解題辞典』や多くの中医学関係の書籍がこちらで刊行されている。

東豊書店

台湾の書籍を中心に取り扱っており、電話などで問い合わせると丁寧に対応してる。ここでしか売っていない本もある。(令和元年6月で閉店。)
Webページがないので、住所のみ掲載。
〒151-0053 東京都渋谷区代々木1丁目35−1 代々木会館 3F

中国書店

福岡の中国書籍取り扱いの書店。目録に載っていれば取り寄せも可能。九州には中国関係の書店が少ないので貴重な存在。

日本の古本屋

古本サイトでは特に古く加盟店も豊富。Amazonで古書を買うよりも価格が安定している。ヤフオクで同一店舗からの出店もあるので、こちらの方が安心できるときがある。

上海学術書店

上海が拠点と思われる中国の書籍を取り扱う書店である。膨大なデータベースがあり、大量購入すると割引があるのが魅力である。船便で購入すると安価であるが、やや日数がかかるときがある。どのサイトから購入する場合も航空便がやや早い。

書虫

上記の書店でも取り扱い可能と思われる書も、書虫ではデータベースに見つかりやすく、書籍の写真まで掲載されているので、中国書を探すのに便利である。

孔夫子旧書網(孔夫子旧书网)

中国大陸で流通している古本の通販サイトである。中国の「日本の古本屋」である。繁体字と日本のフォントでも検索が引っかかるので便利。20世紀刊行のレアな書籍はここでないと見つからない場合が多い。上記の中国書を扱う書店が上乗せされるが良心的に代理交渉してくれることがあり、とても良い時代になったと感激である。欲しい本は諦めてはいけない。

ヤフオク

古本や和本は上記の日本の古本屋でも見つかれば帰るが、掘り出し物はヤフオクで発見出来ることがある。古書店が出品している場合もあり、日本の古本屋での掲示価格と比較するのも良い。

中国Amazon(amazon.cn)

 中国国内のAmazonである。購入するときはカード払いで、送料が少し高め。現在、中国で流通している書籍を知ることができるが、在庫はそれほど多くない。

鍼灸の学術に関係する学会・団体

日本医史学会

雑誌「中外事新報」が1927年(昭和2年)より、医史を専門として方向転換、1941年(昭和41年)に「日本医史学雑誌」に変更し、現在に至る。季刊「日本医史学雑誌」を刊行し、これに中国医学、江戸期の医学に纏わる歴史、文献について多くの研究論文が存在する。毎年、学術大会が開催され、所属する本会会員が、学術発表・誌上発表を行っている。

東方学会

1947年(昭和22年)に設立された中国史、中国哲学、中国文献学、中国社会学において格式の高い学会である。年2回機関誌「東方学」を刊行。

日本東洋医学会

1950年(昭和25年)に設立。会員は平成元年より医師が急増して、現在は約90%が医師、鍼灸師はごく少数(0.001%程)。鍼灸古典、鍼灸臨床、経絡治療史などの発表が稀に存在する。

全日本鍼灸学会

日本鍼灸医学会と日本鍼灸治療学会が統合されて設立された。日本の鍼灸を代表する学術大会を主催し、鍼灸師会など各種団体とも密接な重要な団体である。

日本伝統鍼灸学会

1972年(昭和47年)発足の日本経絡学会を前身とし、広く経絡治療以外の伝統鍼灸についても包括しようとのことで、1996年(平成8年)より日本伝統鍼灸学会へと改称する。年3回「日本伝統鍼灸学会誌」を刊行。

経絡治療学会

経絡治療の発祥と共にあるとすれば、新人弥生会からとなるが、現在の経絡治療学会は井上恵理没後に東邦医学会(1941年設立)がその前身である。岡部素道系統を主体とし、現在の経絡治療を代表する組織である。毎年8月の「夏期大学」をプロデュースしている。機関誌「経絡治療」を年4回刊行。毎年3月頃に学術大会がある。


本頁は第30回短期集中基礎講座・3月補講の資料「研究の方法と論文の書き方についての討論のための資料として」を基礎に管理者の一人である寺田屋が増補しました。(2019/05/14更新)