井上雅文の講義録である『脈状診を学ぶ為の基礎と臨床』講読も今回で3回目でした。今回は気虚、血虚、陽虚についてが大きいテーマとなります。また陽気虚、陽血虚、陰気虚、陰血虚というカテゴリーについても記載があり、現在の人迎気口診でいうところの気虚、血虚、虚労、労倦についての理解がより深まる内容です。
井上恵理の『鍼灸臨床講義』は、今回で4回目ですが、内容は眩暈、三叉神経痛、顔面神経麻痺が中心となります。標治法の仕方についてが中心となりますが、当時の臨床では「虚」と「実」の分類が施術方法に影響するように見えます。
今回は「臨床に活かす古典」№78 解読(その3)においては、経穴資料の取り扱いについての説明を踏まえながら、これを解説しました。今回の「臨床に活かす古典」ではこれまでの経穴学の形成とこれからの展望についての示唆が含まれるため、実技における穴法(取穴実技)についても重要な内容です。『明堂』とその後の灸穴としての穴位、新穴の広範化、そして宋代の修正的な経穴であり、当時の標準経穴としての『銅人腧穴鍼灸図経』、そいてそこからの展開としての金元鍼灸と『十四経発揮』の出現、そしてその後の『十四経発揮』の踏襲と修正主義の出現について記載されています。現代の経穴学は解剖学によって修正さらた『十四経発揮』であり、解剖学で明確化されたように見える経穴学は、本来の経穴からかけ離れた別物に発展しており、それでいながら我々はこれを享受するしかないという立場にあるでしょう。